[Amazon Connect]電話回線のメンテナンスや障害の時の対応策を考えてみた
こんにちは、洲崎です。
Amazon Connectを利用する際の電話回線のメンテナンスや障害時における対応を考えてみました。
この件はAmazon Connectに限らず、他のコンタクトセンターサービス等、電話回線を利用する全てのサービスでも考慮する必要がある内容だと考えています。
※2024/5/1修正:Amazon Connectで取得した電話番号にボイスワープなどのキャリア転送サービスは利用できないため、内容を修正しました。
Amazon Connect 内部の可用性
電話回線の話に触れる前に、Amazon Connectの内部の耐障害性について触れておきます。
2019年のre:Inventで、Amazon Connectの内部アーキテクチャが紹介されています。
電話回線(キャリア)との接続はDirect Connect(専用回線)で行っています。この専用回線は複数の冗長化された回線で行っています。
接続先では最低3つのアベイラビリティゾーン(AZ)にまたがってSBC(Session Border Controller)とEC2がサービスを支えています。
SLAも99.99%を掲げており、Amazon Connect自体は高い可用性が担保されています。
電話回線はどうなのか?
では、Amazon Connectに入る前の電話回線はどうでしょうか。
結論ですが、Amazon Connectのインスタンスが3AZ以上で冗長されていても、もし手前の電話回線でメンテナンスや障害が起きた際は影響を受けます。
メンテナンスの場合、業務時間外だったら受ける影響は少ない可能性もありますが、24時間365日の業務があった場合、「どうしたらよいか?」と壁にぶつかると思います。
また、アナウンスの設定などはAmazon Connectに通話が入った時の内部の機能の話なので、電話回線で障害が起きてしまったら、ガイダンスすることもできません。
メンテナンスや障害時は状況にもよりますが、おそらく「ツー・ツー」といったビープ音が流れるか、「デットエア」と呼ばれる通話が繋がらない無音の時間が発生することになります。
Amazon Connectでも、このような単一障害点を避けるために1つのキャリアではなく、複数のキャリア(マルチキャリア)を推奨しています。
米国だとRespOrgというトールフリー番号を管理する会社で、複数のキャリア間でactive-activeでルーティング可能とドキュメントに記載がありました。
日本の電話番号はどうしたらいいのか
ここからはAmazon Connectの話ではなく、電話回線の話で考えていきます。
マルチキャリアの電話番号の利用を検討する
マルチキャリアの対応を検討する際は弊社の請求代行サービスを利用されている場合は弊社サポートや、それ以外の場合はAWSサポートにその旨をお問い合わせし、対応の可否を確認してください。
Amazon Connectの日本の電話番号はどのキャリアか非公開です。
ただ、単一キャリアの障害点を避けるには、別のキャリアも用意しておくべきだと考えます。
Amazon Connectのドキュメントには、「Amazon Connectは複数のテレフォニープロバイダーと統合されています」と記載があります。
複数のキャリアの電話番号を持つことで、1つのキャリアで障害を受けても回避することができます。
(別のキャリアの電話番号にも事前に問い合わせフローや、ユーザーに対してルーティングプロファイルなどの設定はしておく必要があります)
ただ、その際はお客様に電話番号を障害起因で変更している旨をWebサイトなど、何かしら伝える必要があります。
ボイスワープサービスを検討する
電話番号を変えずに、お客様の電話を繋げるには、各キャリアが提供しているボイスワープの利用を検討してください。
Amazon Connectで取得した電話番号にボイスワープなどのキャリア転送サービスは利用できないため、別でAmazon Connect以外でキャリア等から電話番号を取得することが必要です。
通常時もAmazon Connectへ転送しておく構成(例:03-ccc-cccc
→ 03-aaa-aaaa
)を取っておき、キャリアAで障害が発生した際に、ボイスワープで転送先をキャリアB(03-bbb-bbbb
)に変更する方法です。
上記構成をとれば、ボイスワープには無条件転送という設定が(一般的には)ありますので、何かしらの障害時にインターネットなどで設定を行うことで別の電話番号に転送することができます。
詳細は各キャリアが提供しているサービスの内容を確認してください。
NTT東日本 ボイスワープ
KDDI 着信転送
ソフトバンク 多機能転送サービス
シナリオテスト
メンテナンスの場合は事前に通知がありますが、障害は予告なく発生しますので、事前にシナリオを立ててテストを行うことを推奨します。
最後に
Amazon Connectの電話回線のメンテナンスや障害時における対策について考えてみました。
ほぼ電話回線の話でしたが、Amazon Connectに限らず、電話のサービスを利用する際は重要なところだと思います。
同様の事象の対策を考えている方がいたら、本記事を参考にしてもらえますと幸いです。
ではまた!コンサルティング部の洲崎でした。